2013年6月28日金曜日

Androidタブレットを買った

久しぶりの我が家の新鋭IT機器である。夫婦のiPhone3GSを買ったのが3年半前、娘のiPhone4Sが半年前だ。

買ったのはBarnes & Noble(BN)のNook HD+という9インチのHD(1920x1080p 256dpi)画面版で$149。1.5 GHz OMAP4470デュアルコアCPUで16GB内部ストレージと別売SDカードというかなりのスペック。

BNという会社は全米に展開する書籍小売り、つまり本屋で、Amazon.comと似ているがこちらは実店舗を持ち、書籍・雑誌。コンシューマPCソフトウェア以外の流通には手を出していない。BNという本屋はちょっとユニークな経営で、「立ち読みお断り」どころか実質は立ち読み奨励状態で、子供の本売り場にはベンチと床座り場所があり、ほとんどの店の中にはあるStarbuks(スタバ)コーヒーショップのテーブルでは客は書棚からとった本を延々と読んだりラップトップPCで仕事をしているという、従来の本屋のイメージとはちょっと違うビジネスだ。Nookはe-ReaderとしてBNが開発し、4年ほど前から売られている。

アメリカではタブレットはもうかなり普及している。我が家はこういうものに手を出すのがあまり早くない。大きな理由は金がないことだが、市場の方向性が明確になり、価格競争が始まり、強者だけが生き残りそうな気配が見えてから買う。

実は今回買ったBNはe-Readerビジネスから撤退することを表明している。それどころかBNそのものもかなり悪い経営状態にある。同業者のCrown Books、Dalton、Borderなどが次々と倒産・廃業して行きAmazonの一人勝ち状態が見えている中でも何とか生き残ってきたBNも「いつ」が噂されている。

そんな「廃業寸前の」製品をなぜ買ったか?

理由は、BNがNookビジネスからの撤退に際して、NookをオープンのAndroidタブレットに変換するという非常に好ましい重大な決断をしたからだ。 Nookの最近の機種は元々Androidで構築されておりウェブも見られメイルも扱えるが、あくまでもeReaderであり、自由にアプリケーションをインストールしたり派できず、汎用Androidタブレットとしての融通性に欠けていた。ところが最近のアップデートでは、Nookの在庫を処分するためか、Google PlayをハンドルしブラウザをChromeに変更し、完全な汎用Androidタブレットになった。Google Playは特に重要で、市場にあるAndroidアプリケーションが自由に使えるようになった。早速Kindleアプリケーションをインストールし、以前買ったAmazon.comの書籍を読み始めた。BNにとっては皮肉の限りだろうが、これが市場原理というものだから仕方がない。

Nook HD+その物は非常によくできている。外観、使いよさ、製品としてのまとまり、重さなどかなりいい線を行っており、昨夜食後に家族に披露したら第喝采を受けた。中学生の娘は早速自分でセットアップしたYouTubeで映画を見始めた。

まだ使い始めて24時間も経っていたいので詳細は別の機会に譲るとして、気になったのはAndroidの標準装備の家族メンバーのプロファイル設定。この機能その物は複数の家族メンバーの各々が自分自身のメイルやメニュー、履歴などのプロファイルを持て、家族で1台のタブレットを共有するのには大変便利なのだが、二つの問題点を見つけた。

一つ目:プロファイルには「大人」と「小人」の区別があるが、「大人」はシステムの設定変更を含む全ての機能がつかえ、「小人」は実質子ども向け書籍を読む以外何もできない。就学前の用事ならともかく、ウチの中学生の娘は仕方なく「大人」の設定にした。システムの基本設定などが安全かどうかちょっと不安。彼女はWindowsでは一般ユーザ、iPhoneでは「Restriction」 でシステムの基本設定には関与でできない。

二つ目:プロファイル保護のためにパスコードを使えるのだが、これが「大人」と「小人」の区別しかできなく、結局「大人」全員で同じパスコードを共有することになり、プライバシとシステム保護の点で不安がある。

2013年6月5日水曜日

FXは皆で集まって喜ぶことか?

テレビ東京の「ガイアの夜明け」。地味な番組という位置付けらしいが、割と好きで毎回見ている。

先日放映された「【ニッポン買いは続くのか!?】『アベノミクス』で熱狂する投資家たち」というエピソード、内容は台湾の富裕層が日本で投資用不動産を買い漁っていることがメインだった用な記憶があるが、それよりも印象に残ったのは番組では付足しプラス程度の扱いだったのが、台所仕事を最中にもタブレットで為替動向を見ながらFXをやっている主婦の紹介。

そもそも、こういう「しろーと」を強調した主婦の「すごい話」を紹介するテレビ番組は好きでない。ちょっと内容は異なるが、今から10年少々前、PCがまだ家庭にそれほど普及しておらずインターネットもダイアルアップがようやく普及の様子を見せてきたときに、「主婦のPCの使い方」とし、ネットにも何も接続されていないPCに手製のカレンダーを入れ「今日はどこの部屋を掃除するかをPCで知る」と言うことを真面目くさってテレビ番組で紹介していた。番組中でコメントを求められた評論家もさすがに苦笑してコメントにならないコメントを言っていた。

バブルが弾けてから超低金利が続いた預金市場では、特にこの5~6年ほどはハイリターンを望む層がFXにうつつを抜かしていることは知っている。「カリスマ主婦」とか呼ばれる元しろーと主婦がン十万だかン百万だかをPCの前に座っているだけで稼ぎ出す姿に羨望した主婦層の一部がマニュアル本を買って小遣いと家計費を捨てているらしい。

まぁ、それは好きでやっているのだから他人の関与する所ではない。番組に出てきた主婦についてはナレータがしきりに「25万儲かった」と強調してその計算書を映しだすこと少なくとも3回。ただし番組の終わり近くで「しかしリスクもある。××さん(登場するFX屋の主婦)も実は以前に300万円の損失を被った」と申し訳程度の控えめな表現で付け足していた。

さて、ここでこの番組とFX主婦を取り上げたのは、視聴中に感じたどうしようもない違和感故。

主人公のFX主婦がママ友風のFX仲間の家に深夜に5~6人で集まり、アメリカの雇用統計発表を待つという場面。FX主婦はUSドルが上がると見て事前に円売りドル買いをしていたので16万1千人の雇用増加という好情報に市場は湧き、ドル値上がりを集まった皆で喜んでメデタシメデタシになるというくだり。

なぜ違和感か?

「皆で集まって喜ぶ」というのがおかしいのだ。

FXは他の全ての相場ものと同じくゼロサムゲーム、すなわち誰かの儲けは他の誰かの損で支払われるのであり、株のように市場全体の価値が上昇するということはない。賭麻雀と同じで、プレーヤの間で掛金が行き来するだけだ(正確に言うと、FX仲介業者に支払う経費は持ち出しになるからネガティブサムゲーム)。だから、ママ友だかFX仲間だかも常に利害の相反する競争相手であり、一緒に「勝ち」を喜ぶということはあり得ないのだ。もちろん、今回はたまたま仲間が同じ見通しにかけて皆が儲かったのかもしれないが、それは偶然の一つで、そもそもFXを仲間で集まってやる訳がない、と言う所が違和感の根源。

「投資」と言えば「投機」と混同して、博打だとか損してもいい金でやれとか言う誤解が日本には蔓延っているだけでなく、今度はギャンブルを投資と勘違いして新聞もテレビも囃し立てる。どうもこの国は極端が好きなようだ。