2012年8月13日月曜日

紫外線をカットしたからって…

紫外線99%カットのフィルム

 ニトムズ(東京都中央区)は、窓に貼ることで紫外線を99%カットし、室温上昇を抑える「窓のサングラス省エネフィルムEX」(参考価格2200円)を発売した。
以下略(2012年8月7日  読売新聞)

またしても科学的考察ゼロの提灯新聞記事。

紫外線をカットしたからって何故室温上昇が抑えられるのか?

小生もこういうのは専門でないのでうろ覚えと付け焼刃だが、まず中学生の娘の理科の教科書によれば「熱」とは物質を構成する分子(或いはイオンや原子)粒子の振動である。電子レンジや赤外線ヒータでものが温まるのは、これらの機器から放出される電磁波が対象物の粒子を振動させる(正確には振動を加速させる)からである。

しかるにこれらの粒子を振動させる電磁波の波長は対象の粒子によって丁度よい具合の波長があり、例えば電子レンジのマイクロ波は水分子を振動させるのに具合のよい領域の波長だし、もっと波長の短い赤外線はそれ以外のものを暖めるに適した波長である。

ところが紫外線は波長が短すぎ、分子・イオン・原子レベルよりも電子レベルで対象の粒子を揺さぶるので、化学反応を引き起こして「日焼け」「紫外線焼け」を引き起こすが、普通の意味で対象物の温度上昇にはほとんど寄与しない。すなわち紫外線のエネルギーは熱エネルギーになるのではなく、化学エネルギーになる。もっと波長の短い(従ってエネルギーの高い、e=hν)電磁波はX線やガンマ線。

つまり、紫外線をカットしたからと言って、室温の上昇を抑える効果はない。まぁ元もとどの領域(波長)の紫外線をカットするのもかも明示していないいい加減な記事ではあるが…。

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