2012年7月31日火曜日

RJ45/RJ11スプリッタ

うちのインターネット接続はケーブルモデムを使っている。一般用の月$30~のプランではなく$100のビジネス用プランなので
  • 固定アドレス(サーバの運用に必要)
  • ポートの制限なし(サーバの運用に必要)
  • 転送データ量の制限なし(日本からテレビの録画データを毎月数十GB転送している)
  • 24/7の優先的テクニカルサポート(モデムの電源が死んだときしかお世話になっていないが…)
などのメリットがある。

転送速度は実測でダウンロードが約25Mbps、アップロードが約3Mbpsで悪くない。ここで「実測」と言っているのは、テレビの録画ファイルを転送しながらのログだから、スピード測定サイトの結果なんかよりずっと実際的。接続会社によっては、「ターボモード」などと称して転送の開始から数MBだけバースト的に高速転送して体感的な転送速度を速く見せているものもあるが、数GBのファイル転送にはそういう数字は無意味。

ま、それはさて置いて…。

で、ケーブルモデムの置き場所は当然のことながらケーブルのフィードがあるところになるが、歴史的及び怠惰的事情により下階のAVルームというか家族用の居間のテレビのラックの中にモデムがある。モデムはブリッジモードで、ここから上階のサーバルームというかクローゼットの中のファイアウォールのサーバに入ってから家の中のLANにつながる仕組み。WiFiなどは使わない。有線の接続だ。

さて、今時のAV機器には、ネットワークにつながるものが結構ある。AVラックの中のメディアプレーヤ2台、BDプレーヤ、衛星放送のレシーバに居間でつかうラップトップのためのWiFi APを含めて5台の機器がLANにぶら下がっている。

問題は物理的な配線。13年前にこの家を買った直後にめぼしい部屋にはすべてCAT5を這わせ、さらに3年前にAVルームを改装した時にCAT5二本とリアスピーカ用配線を暖炉にそって床に埋め込み部屋を横切ってガラージュに抜けるようにした。ガラージュに入ってしまえばそこから下階のパッチブースというかクローゼットへの敷線は屁の河童。そこから上階のサーバルームに届けるには、下階の天上から上階の床に穴をあけるというあまりうれしくない仕事だが当の昔に完了済み。

ところが、この期に及んで見通しの甘さが露見した。AVラックからCAT5が二本しか通っていないのだ。ケーブルモデムからファイアウォールへとファイウォールからLANの二系統しか考えていなかったが、ここに来て衛星放送レシーバ(DVR)のコーラーID(日本流に言うとナンバーディスプレイ)機能を使ってテレビを視聴中にかかってきた電話の発信元を表示させたい、という欲求がむらむら起こってきたのだ。

実はこの一週間ほど、電話がらみのプロジェクトを進めている。家を買った直後に導入した外線2回線内線7回線の簡易交換器がシリアルポートに出力する通話のログをサーバに貯めてウェブで閲覧できる仕掛けは10年ほど前に作ってずっと使っていたが、2年前にサーバのハードウェアをアップグレードした直後から動かなくなっていた。多分シリアル接続のDTE/DCEの不一致だろうと思っていたが、何となく放ったらかしておいた。ところが2週間前にふと思いついてヌルモデムアダプタを噛ませたら、ころっと再び動くようになった。

外線2回線+内線回線の簡易交換器
これに気をよくして、5年前に購入して装着したものの当時のLinux用ドライバが動作しないのでそのままにしておいたコーラーIDを検出できるPCIモデムのドライバの最新バージョンを手に入れてインストールしたら、こちらもあっさり動いた。

こうなると気分は上々、もっとやりたくなる。そこで、サーバーで検出したコーラーIDをクライアントに一斉通知してPC上でどこからかかってきた電話なのかポップアップで表示するNCID(networked caller ID)なるものを家中のPCにインストールしたら出来は上々、さらに欲求は高まる、という次第なのだ。

そこで衛星放送レシーバに電話線をつなぎたいのだが線が足りない。一時は床のトリムを剥がして工事することも考えたが、もちろんこれは最後の手段。解決手段をネットで探したら、あったあった。1本のCAT5をスプリットして2回線分使うというアダプタ。ご存知のようにCAT5などのデータケーブルは撚り線が4対通っているが、実際に通信に使っているのは2対だけ。余った2対4本の導線を使って電源を供給するPoE(Power over Ethernet)などもあり、うちでもネットワークカメラの電源供給に使っているが、このアダプタはネットワーク2回線分を1本のケーブルに通そうというもの。RJ45<=>RJ45x2のネットワーク用とRJ45<=>RJ45+RJ11のデータ+電話用の二種類が用意されているので、両方一組づつ買い、既存の2本のCAT5をデータ3回線と電話2回線(電話線2対)に拡張できた。

このアダプタは一組$15~25と安くはないが、びっくりするほど高くもない。注意したいのは、似たような「スプリッタ」は巷で結構売られているが、ほとんどの製品は単にすべての導線をパラレルに反対側に二組出しているだけなので、こういう目的には使えない。RJ11<=>RJ11x2のアダプタでは内側の対と外側の対を反対側の内側につないで2回線を1本のケーブルで伝送できるようにしてあるものもあるが、RJ45ではこの製品以外にお目にかかったことはない。

同じケーブル内で二組のデータ通信をするのでクロストークを心配する向きもあるかもしれないが、もともと[10|100|1000]base2では上りと下りの2回戦が1本のケーブル内を通過するので、それで問題なければ心配は無用。普通の家では家庭内LANはWiFiが主流だと思うが、有線LANはセキュリティ、転送速度、安定性などで一日の長がある。敷設してある回線数が足りなくなったら使ってみるといい。
交換器の製品の写真は製造元のサイトから。著作権はしかるべき保持者に帰属します。

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